自然を抱く美術館

ミュージアムSAN

安藤忠雄 | 日本

©2018hansungpil

ミュージアムSANは、狭くて長い道が頂上まで続く山の中に立っています。建築家の安藤忠雄は、ミュージアムの敷地を初めて訪れた時、「都塵を避けた美しい山と自然に囲まれた 」この場所に魅了され、「周りとは掛け離れた別世界を作ることができる」と考えたといいます。その第一印象通り、全長700mに及ぶ散歩道や展示館の中を歩いていると、「Disconnect to connect(疎通のための断絶)」という設計コンセプトが至る所で感じられます。

建築家の主な特徴であるドラマチックな「シークエンスと反転」はミュージアムSANにも表れ、大きな感動を呼びます。真っ先に観覧客を迎えるウェルカムセンターは、暗くて重みある空間となっていますが、閉ざされたその暗い空間から抜け出して外に出ると広々としたフラワーガーデンが現れ、反転が体験できます。このような反転を皮切りに、ミュージアムへの長い旅が始まります。紫色のナデシコの花畑と白いシラカバの森を抜け、まるで建物が水の上に浮いているように感じられるウォータ ーガーデンを通り過ぎると、いつの間にか自然と触れ合っているような感覚に包まれます。

長い旅の末に辿り着いたミュージアムは、坡州産の粗い石材で仕上げた外側のボックスの中に、打放しコンクリート仕上げのボックスを入れて作った展示空間「Box in Box」構造とな っています。ボックス周辺の廊下は天井から降り注ぐ光によって神秘さを醸し出し、この動線に沿って歩いていると開と閉、疎通と断絶、内部と外部、人工と自然など、巧妙に工夫されたシークエンスによって反転が繰り返され、いつの間にかミステリアスな建築空間に浸っている自分と出会うことになります。

内部空間を全て鑑賞して外に出ると、ストーンガーデンが広がります。ここは、韓国の新羅時代(BC57~AD935)の古墳をモチーフにした9つのストーンマウンドになっており、その間を散歩しながら広々とした空や大地の安らぎ、風と日差しを感じることで、再び自然と触れ合う時間が楽しめる場所です。

TIP
原州市外バスターミナルから「原州シティツアーバス(循環型)」に乗ると、ミュージアムSANをはじめ原州の主な観光スポットがめぐれます。
1日9回運行(wonjutourbus.kr)
周辺観光地
艮峴遊園地、原州中央市場
住所
江原道原州市地正面オークバレー2ギル260
方法
原州市外バスターミナルからオークバレーシャトルバス利用(1日5回)、またはタクシーで20~30分
電話
033-730-9000
入場
18,000ウォン
ウェブサイト
www.museumsan.org
時間
10:00~18:00/月曜休館
ビデオアート作品としての建築物

白南準アートセンター

キルステン・シェメル、マリナ・スタンコビッチ | ドイツ

©Photo(Ji Ho Kim)-KTO

白南準アートセンターは、「ビデオアートの創始者」として世界的に有名な白南準(ナム・ジュン・パイク、 1932~2006)の芸術思想とクリエイティブな芸術活動を研究・継承するために設立されました。白南準は、1960年代にブラウン管テレビの回路を操作して画面を変化させたり、観客の参加によって画面が完成するといった実験的な作品を披露し、それからも絶え間なく芸術と技術、人間と機械、機械と自然、東洋と西洋など全ての境界を越える実験的な芸術を追求しました。スミソニアン・アメリカ美術館館長のエリザベス・ブロウンは、白南準について次のように語っています。

「ピカソが20世紀前半を支配した巨人であるならば、白南準は20世紀後半における芸術の重心です。
彼の想像力が世界を変えました。」

2003年、白南準の思想と芸術観が反映されたアートセンター建築設計のための国際アイディアコンペが開かれました。世界的な芸術家のためのアートセンター設計公募展に相応しく、計42ヶ国から439チームが参加し、当選作はドイツの建築家キルステン・シェメルが提案した「The Matrix」でした。建築家は、観客に無限の想像力を与えた白南準の作品に深い感銘を受け、アートセンターの建築設計にも従来の美術館や博物館とは異なり、観客が主体となって自由に選択できる空間をコンセプトに設計したといいます。

©Photo(Ji Ho Kim)-KTO
©Photo(Ji Ho Kim)-KTO

完成した建物の全体的な外観は、垂直に分離されたガラス製カーテンウォールで覆われ、特殊製作した反射複層ガラスの内側に不規則なシルクスクリーン印刷を施し、建物外部の周辺景観が深く鮮明に投影されます。特に、建物全体のガラス製カーテンウォールに水平方向で巻かれた黒い帯は、白黒テレビで画面が乱れた時に映し出される砂嵐の縞模様を連想させます。そこにガラス製カーテンウォールに映 った周辺の自然景観が加わり、まるで建物全体が白南準の巨大なビデオアート作品のように感じられます。

©Photo(Ji Ho Kim)-KTO
TIP
白南準アートセンター向かいに立つ「ジエン・ア ートスペース」は、展示・教育・創作スペース、ショ ップ、カフェ&レストランなどが入った複合文化スペースです。
周辺観光地
ジエン・アートスペース、京畿道博物館、韓国民俗村
住所
京畿道龍仁市器興区白南準路10
方法
地下鉄エバーライン・プンダン線キフン駅6番出口から徒歩15分
電話
031-201-8571
入場
無料
ウェブサイト
njp.ggcf.kr
時間
10:00~18:00、7月~8月10:00~19:00/月曜休館
先史時代へタイムスリップ

全谷先史博物館

X-TUアーキテクツ社 | フランス

全谷(チョンゴク)先史博物館のある全谷里は、東アジア地域で初めてアシュール型手斧*1が発見された場所で、発見当時のエピソードが非常にドラマチックなことで知られています。1979年、在韓米軍に赴任するために韓国にやって来た空軍上等兵が、全谷里にある漢灘江に出かけた時、韓国人の恋人が手に取ったありふれた石ころの中からアシュール型手斧を見つけたのです。実はその上等兵は、来韓前にアリゾナ州立大学で考古学を専攻した考古学者で、遠く離れた韓国の平凡な田舎の川岸に偶然立ち寄り、考古学者の見識でアシュール型手斧を発見したことによって、世界の考古学界を驚かせました。

敷地には2つの丘とそれらを繋ぐなだらかな渓谷があり、博物館はこの2つの丘を有機的に繋ぐ橋の役割をしつつ、両側の丘と自然に繋が っています。博物館の外観は原生動物のように有機的な形でデザインされ、外皮を全てステンレス鋼で仕上げたため、昼には太陽光を反射して光り、見る視点によって波のようにうねって圧倒的な存在感を放ちます。

フランスの建築設計事務所X-TUアーキテクツは、建物の表面をデザインする時、韓国の伝説に登場する「龍」からインスピレーションを得たといいます。表面を龍のうろこのように仕上げるため、ステンレス鋼で作った表面のあちこちに色んな形で穴を空け、半透明素材で仕上げました。夜になると表面の穴から室内照明の光が漏れ、周期的に照明の方向や明るさが変わるようにプログラムされており、建物全体がまるで生きている有機体のように感じられます。

周りには山と川だけという場所にそびえ立つ博物館は、建物そのものが美術作品、または巨大な彫刻作品のようにも見えます。特に、夕方に遠くから博物館を眺めると外観の曲面がなだらかなスカイラインを作り、その後に尾根が作る曲線が重なって印象的な風景を醸し出します。

TIP
毎年5月初めに開催される「漣川旧石器祭り」では、世界中の先史文化が体験できます。
周辺観光地
漣川全谷里遺跡、漢灘江観光地、台風展望台、第1トンネル(常勝OP)
住所
京畿道漣川郡全谷邑平和路443番ギル2
方法
地下鉄1号ソヨサン駅1番出口からタクシーで10分
電話
031-830-5600~2
入場
無料
ウェブサイト
jgpm.ggcf.kr
時間
10:00~18:00、7月~8月10:00~19:00/月曜日、1月1日、ソルラル・秋夕当日休館
Writer by yun sin-yong | Photo by KTO
Client KTO | Production D.gram(Korean Architecture Tour) ⓒdgram.co.kr All Rights Reserved.
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