建築と共に歩んだ百済文化散策

漢城百済博物館

金用美 | 大韓民国

百済(ペクチェ)は、紀元前18世紀から西暦660年にかけて韓半島に存在した古代王国で、現在のソウルを首都と定めて繁栄を享受した紀元前18世紀から西暦475年までの時期を「漢城百済時代」といいます。博物館名の「漢城(ハンソン)」は、百済が繁栄した時期のソウルの地名で、漢城百済博物館では約2千年前の百済や東アジアの古代文化遺産が鑑賞できます。

博物館は、ソウルに残る漢城百済の重要な史跡のひとつ夢村土城が見えるオリンピック公園内にあります。夢村土城は、土を一層ずつ固めながら積み上げた丘の形をした土城で、これを垂直に切ってその断面を確かめると、まるで断層のように固く積み重なった土の層が確認できます。建築家の金用美(キム・ヨンミ)は、このような土城の形をモチーフに設計を始めました。

博物館の敷地は、もともとは松の木が植えられたなだらかな丘でした。建築家は、博物館を土城の形に作ってこの丘を丸く取り囲み、丘の高さはそのまま保ちながら地面を掘って空間を作り、そこをロビーにしました。床を深く掘り下げた柱のない広い空間に上から光が射し込んでくるロビーは、まるで古代の竪穴式住居の内部空間を連想させます。また、昔の土城の特性を生かして博物館の屋根を人々が散歩できるようにスロープ状にし、屋根の遊歩道がオリンピック公園の遊歩道へと繋がり、博物館が自然に公園の一部となっています。遊歩道に沿って屋根の最も高い場所へたどり着くと、目の前には古代の漢城百済時代に作られた夢村土城が見えてきます。

内部空間に入ると、土城の垂直断面を本来のスケールのまま復元した壁が現れます。この壁を演出するためにロビー空間を地下から地上2階の高さまで開放し、観覧客は博物館に入った瞬間、土城の巨大な規模に圧倒されつつ昔の漢城百済への旅を始めることになります。

TIP
風納土城、夢村土城など百済の遺跡が残るロッテワールド周辺では、毎年秋になると漢城百済文化祭(www.baekjefest.com)が開かれます。王のための祭祀、百済歴史文化パレードなどが繰り広げられ、グルメ市場なども登場します。
周辺観光地
風納土城、ロッテワールド&ロッテワールドタワー、ソマ美術館
住所
ソウル特別市松坡区ウィレソンデロ71
方法
地下鉄9号線ハンソンベクチェ駅2番出口から徒歩5分
電話
02-2152-5800
入場
無料(特別・企画展示は有料)
ウェブサイト
baekjemuseum.seoul.go.kr
時間
09:00~19:00/月曜日、1月1日休館
ひたむきな書家の人生が刻まれた建築

如初書芸館

李星観 | 大韓民国

©Photo(Ji Ho Kim)-KTO

如初(ヨチョ)書芸館は、近現代の韓国書道史上最高の作家と評価される金膺顕(キム・ウンヒ ョン、1927~2007)を称えるために設立されました。如初は「初めの如く」という意味の雅号で、ひたすら書道に専念し、事故で右手にけがをした時も左手で書いた作品で展示会を開いた金膺顕の一生ともよく似ています。

©Photo(Ji Ho Kim)-KTO

書芸館を設計した建築家の李星観(イ・ソングァン)は、金膺顕の書道作品を深く研究し、作品に漂う気高く純潔な雰囲気を建築にも上手く溶け込ませたいと考え、そこで書芸館が建てられる場所の周辺を取り囲んでいる古い松の森に注目しました。韓国では、季節の変化に左右されることなく常に緑を保つ松の木を、いつも実直で気高いソンビ(儒生)に例えることから、周りの松の森を書芸館の一部として引き込み、金膺顕の作品の気品を高める方向で設計を進めました。
書芸館は、このようなコンセプトにより周りの松の森を保存すると同時に、できる限り自然の地形を損なわないように建てられ、松の森を背景に斜面を活かして教育施設や付帯施設を設けました。そして、展示施設はピロティ形式により地面から一階分の高さほど引き上げ、地面から切り離されたことでそこにできた開かれた空間に周りの自然景観を引き寄せ、書芸館に近づくほど建物と自然が重なってひとつになったように見えます。

©Photo(Ji Ho Kim)-KTO
©Photo(Ji Ho Kim)-KTO

く切り取られた空が、下には穏やかな水面に日差しが輝く池があります。従来流れていた小川の水をそのまま活かして作 ったこの池は、ピロティによって作られた空間から見える周りの自然を照らしだすと同時に、展示施設の壁面に刻まれた金膺顕の書道作品を照らし、作品が持つ気高く純潔なイメージを引き立たせています。

©Photo(Ji Ho Kim)-KTO
TIP
近隣には、天然記念物(1965年)とユネスコエコパーク(1982年)に指定された国立公園の雪岳山や、素晴らしい景観を誇る百潭寺、新興寺など由緒ある伝統寺院もあります。
周辺観光地
東国大学万海村&韓国詩集博物館、龍垈里スケトウダラ村、雪岳山国立公園(百潭寺、新興寺)
住所
江原道麟蹄郡北面万海路154
方法
百潭入口市外バスターミナルからタクシーで5分
電話
033-461-4081
入場
無料
ウェブサイト
yeochomuseum.kr
時間
09:00~18:00/月曜日、1月1日、ソルラル・秋夕当日休館
韓国梵鐘の形や音が実現された建築

鎮川鐘博物館

金奎碩 | 大韓民国

©Photo(Ji Ho Kim)-KTO

韓国最古の製鉄遺跡があり、すでに3~5世紀頃から製錬、精錬、鍛冶など一連の工程によって鉄が生産されていた鎮川(チンチ ョン)にある鎮川鐘博物館には、古代の製鉄技術に基づいて製作された韓国の優秀な梵鐘をはじめ、国内外の様々な鐘が展示されています。

建築家の金奎碩(キム・ギュソク)は、壮麗ながらも微かに長い余韻が残る音を出す韓国の梵鐘をモチーフに、鐘博物館を設計しました。このような設計意図は建物の外観にもそのまま表れ、入口では梵鐘の形を再現したガラス製の構造物が観覧客を出迎えます。この構造物の下には、外部から聞こえてくる鐘の音が微かに鳴り響き、観覧する前に様 々な鐘に対する期待感を抱かせます。博物館の右側にあるガラス製カーテンウォールの立面は波打つような形で設計されており、これは鐘の音が作り出すうなり現象を表現したといいます。うなりとは、振動数のわずかに異なる2つの音波が干渉し合い、周期的に音が強くなったり弱くな ったりして聞こえる現象で、韓国の梵鐘の音にも見られる特徴です。

©Photo(Ji Ho Kim)-KTO

入口で観覧客を真っ先に迎えるのは、韓国の梵鐘を代表する聖徳大王神鐘(統一新羅時代、771年完成)の実物大模型です(実物は国立慶州博物館が所蔵)。2階まで吹き抜けにな った空間に高さ3.33m・直径2.27mの巨大な梵鐘が展示され、溶銑を注ぎ込んで鋳造を行った後、巨大な鋳型が取り除かれると、壮麗な姿の梵鐘が生まれてくるシーンが演出され、興味をそそられます。

博物館では、様々な形の梵鐘を鑑賞するだけではなく、その製作工程も分かります。釜で蜜蝋を溶かして紋様を彫り込み、溶銑を注ぎ込むなど計9段階の梵鐘製作工程が模型で具体的に再現されているため、梵鐘が誕生する様子が楽しく簡単に理解できます。

©Photo(Ji Ho Kim)-KTO
©Photo(Ji Ho Kim)-KTO

博物館では、様々な形の梵鐘を鑑賞するだけではなく、その製作工程も分かります。釜で蜜蝋を溶かして紋様を彫り込み、溶銑を注ぎ込むなど計9段階の梵鐘製作工程が模型で具体的に再現されているため、梵鐘が誕生する様子が楽しく簡単に理解できます。

©Photo(Ji Ho Kim)-KTO
TIP
敷地内には、韓国の鐘名匠で国家重要無形文化財の鋳鉄匠・元光植(ウォン・グァンシク)の鋳鉄技術が受け継げる鋳鉄匠伝授教育館があり、韓国の鐘の鋳造技術に関する様々な教育、体験プログラムが行われています。
周辺観光地
鎮川郡立生居版画美術館、清州古印刷博物館、国立清州博物館
住所
忠清北道鎮川郡鎮川邑栢谷路1504-12
方法
鎮川総合バスターミナルからタクシーで5分
電話
043-539-3847~8
入場
1,500ウォン
ウェブサイト
10:00~18:00/月曜日、1月1日、ソルラル・秋夕連休休館
Writer by yun sin-yong | Photo by KTO
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